英国ツアー2015 ~その3~
この仕事を始めたばかりのころ、草花の名前を覚えるより先に、
ガーデン雑誌に載っている人たちの薦める本を読んでいた時期がありました。
そんなある日、名古屋市中区の古本屋で、気になっていた一冊を買い求めました。
「derek jarman’s garden」の邦訳版。
なんだ、これ・・。
写真はすごくかっこいい!!
文章は、訳されてるけど、ちょっとわからん・・。
その時の自分は、残念ながら!!
そんな感じでした。
嗚呼・・。
デレク・ジャーマンという名前はきいたことがありました。
思春期にお世話になった「宝島」という雑誌の記事で知ってはいました。
映像作家・映画監督として、英国のバンド、ザ・スミスのプロモーションビデオなど撮っていたこと。
映画は、少し難解そうだということなど。
そんな出会いながらも、
写真を眺めたり、文章を読んだりしているうちに自分の中の大事な一冊(庭)になっていきました。
その後、新婚旅行でイギリスに行った時も、行けたらいいな、くらい思っていましたが、
そんな心持ちじゃあ、行けませんよね。
それから2年で、まさかの渡英の機会!!
今回は、どうしても行ってみたいと奥さんに伝え、
ツアーの自由時間を利用して2人でダンジェネスに行くことができました。
ロンドンから電車、バスを乗り継いで3時間半。
フォルクストンからのバスに揺られている間、徐々に車窓からの景色が色褪せていきます。
砂利敷きの寂しげな海岸線。
穏やかな浜風。
RH&DR鉄道のミニ蒸気機関車の、頼りない線路。
ジャーマンが英国一おいしいフィッシュ&チップスが食べれると言っていた、
The Pilotというレストランパブの前でバスを降りると、そこは「寂び」な世界。
物語の中に入り込んだような、不可思議な感覚と、
静寂のなかの足音。
来て、よかったと、思う。
「パラダイスは庭に宿る。庭がパラダイスであることもある。私の庭もそうである」
デレク・ジャーマン(Derek Jarman、1942~94年)
ichiro mizuno
- None Found